・『グイン・サーガ』 栗本薫著・ハヤカワ文庫
僕が1〜2ヶ月に一度、楽しみで楽しみでしょうがないものがある。
それは『グイン・サーガ』(ハヤカワ文庫・栗本薫著)の最新刊だ。
ファンタジックな冒険小説で、続き物で現在なんと73巻。
当初は100巻完結を目指し、邁進し続けていたが、この勢いだと100巻では終わらなそうな気配。
しかも本編73巻以外に外伝が16冊も出ているという大変な代物だ。
今現在の新刊発売のペースは1〜2ヶ月に1冊。
続きが読みたくて、最新刊を楽しみにするという日々がもうここ10年ぐらい続いている。
なぜこんなに長いのにおもしろいのか。
それは登場するキャラクターの多様さと魅力にある。
どのキャラクターを主人公にしても話がかけるおもしろさ。
そして様々な個性あふれるキャラクターのもつれ合った人間関係のからみあいが実におもしろい。
主人公が5巻ぐらい登場しないこともあるという変わった小説なのだが、そこがおもしろさの秘訣なのだろう。
この本に吸い込まれる魅力のもう一つの原因は、先行きに起る出来事の予想度の適度さ。
どういうことかというと、次に起る出来事が、読者には半分は予想でき、半分は予想できないというバランスの良さがある。
完全に読者が次に起ることをわかってしまったらおもしろくないし、
かといって全く予想もつかない出来事が突拍子もなく起ると、強引さや現実味のなさを感じてしまう。
この本は常にそのバランスが良いから、先へ先へと引き込まれて読んでしまうのだろう。
この本を読み始めたきっかけは実に単純だった。
高校生の頃、本を読み始めて、おもしろい冒険小説『ロードス島戦記』に出会った。
しかし8巻で終わってしまい、あっという間に読む本がなくなってしまった。
そこで読む本がついえないような、長い連続物を読もうと思い、その当時33巻まで出ていた『グイン・サーガ』を手に取ったのだ。
これなら当分、本を探さなくても済むと。
ところがそのあまりにおもしろさに次々と読んでしまい、今では最新刊を待ちわびる日々。
あまりに待ちわびて今まで2回ぐらい読みなおしている。
グインの最新刊が出た時には、どんなに疲れていても寝る間を惜しんで読んでしまう。
こんな魔力を秘めた本に出会えたことが本当に幸せだと思いつつ、
毎月毎月最新刊を待ちわびる日々が続いている。
僕が読んだ本の中でもゆるぎない最高ランクの本だ。