「美しい国」という謎のスローガンを掲げて登場した首相、安倍晋三。
彼が一体何を考えているのか、スローガンと同タイトルの著書を読んでみたが、
まったく「美しい国」論は展開されていない。
ただ、彼がなぜ総理就任当時、外国メディアから、
右翼がごとき超国粋主義者と評されたのかは、この本を読めば一目瞭然だ。
※以下、太字が著書からの引用
●靖国参拝して何が悪い
彼は靖国参拝大賛成論者であることをはっきりこの著書で述べている。
靖国問題は、中国との外交問題であるかのように思われているが、
そもそもが国内における政教分離の問題
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一国の指導者が、その国のために殉じた人々にたいして、
尊崇の念を表するのは、どこの国でもおこなう行為である。
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日中平和友好条約ではたがいに内政干渉しないとうたっている。
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だから中国は黙っていろというわけだ。
別にそういう考えならいいけど、
靖国参拝については小泉首相みたいにすぱっと言えばいい。
にもかかわらず著書では堂々と中国を批判しながら、現実政治はだんまりしている。
だからね、海外メディアに警戒されるわけですよ。
海外メディアや外国は当然、彼の著書を読んでいるだろうし。
●儲かるから中国を大切にする
日中関係について安倍氏は経済的なつながりを強調する。
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中国の経済成長は、あきらかに日本の成長につながっている
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政治問題を経済問題に飛び火させない、
政治的な目的を達成するために経済を利用することはしない
と中国が過去の謝罪問題や靖国問題についてわあわあいうなと釘をさしていながら、
北朝鮮の拉致問題になると、拉致という政治問題を経済制裁という経済問題にすりかえているわけで、
というか、政治と経済問題は別だなんてことが国家同士であり得るわけはないわけですよ。
中国は儲かるから、中国は政治問題に目をつぶれといいつつ、
北朝鮮は政治と経済問題はセットにするという矛盾を自ら犯していることに気づかない、
あんぽんたん総理なのである。
●天皇至上主義
日本の歴史は、天皇を縦糸にして織られてきた巨大なタペストリー
国柄をあらわす根幹が天皇制である
→江戸時代250年間をも天皇を中心にした歴史とでもいうのだろうか?
天皇が他の国の国王とちがうのは、富や権力の象徴ではなかったという点だろう
→こういう愚かな認識しかできないから、中国や韓国が怒り、
本来なら関係のない靖国参拝まで外交問題化されてしまう。
戦中の天皇は神格化され、日本の「権力」のまさに象徴だった。
天皇を掲げさえすれば、大日本帝国のために残虐な戦争を正当化し、
特攻していき自滅していった日本。
そうした事実がありながら、天皇は権力の象徴ではなく、
天皇家は文化的水準の高さを誇っていた
と自慢する、この政治家の神経はどうだろう?
そして安倍氏は特攻隊を正当化する。
国のために死ぬことを宿命づけられた特攻隊の若者たち
自ら死を意味あるものにし、自ら生を永遠のものにしようとする意志もあった。
それを可能にするのが大義に殉じることではなかったか。
死を目前にした瞬間、愛しい人のことを想いつつも、
日本という国の悠久の歴史が続くことを願ったのだ。
→怖ろしい歴史認識である。
特攻隊としてアジアで殺戮戦争を行ったことをまるで正当化しているようだし、
国民が国家のために死ぬことは当然といわんばかりの言葉。
国家のために特攻隊が死んで国家がよくなるのか?
とんだ国粋主義者である。
●イラク戦争の正当化
安倍氏は戦争が大好きでたまらないようだ。
アメリカがどこにも存在しない大量破壊兵器をでっちあげ、
石油を得るためにイラク国民を大量に虐殺したイラク戦争について、
イラク人のイラク人によるイラク人のための、自由で民主的な国をつくろうと努力しているとき、
その国際社会の一員である日本が(自衛隊派遣という)貢献するのは当然のこと。
イラク人のためになぜアメリカ人が出てくるのか。
アメリカの嘘に加担した日本の責任はどうなるのか。
安倍氏はバカなんじゃないかと私は思ってしまう。
ちゃんと目を見開いて国際社会で起こった事実を見ろよ!
このようにして、安倍氏はとことん国粋主義者である。
彼の言う美しい国とは、日本という国家力を伸ばすことであって、
世界平和とか国民一人一人の幸せとかはどうでもいいわけだ。
●国家至上主義
自分の帰属する場所とは、自らの国をおいてほかはない。
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地球市民は信用できない
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地球上のすべての人類が、自分の生まれ育った地域を大切にすれば、
やがて地球がひとつの大きなコミュニティになるという考え方があるが、
一見正しいように思えるがどこか不自然だ。
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地球市民というのは、人類がかかげるべき概念のひとつかもしれないが、
事実上空想世界でしかない。
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市民を守るのは国家でしかない。国家が社会の統治単位である。
今回の北朝鮮の核実験問題を見ればわかる通り、
国際社会が国家を単位にしている以上、世界平和なんてできっこないわけですよ。
みんな北朝鮮が悪いことしたから制裁するんじゃなく、
自国の利益があれば制裁し、制裁に反対することで利益を得られるなら反対するわけです。
国家を単位にして物事を考えているから、国際社会でおかしな問題が起こるわけで、
今すぐに実現しないまでも地球単位で物事を考え、
国家や国境を越えたボーダレスな考えに移行していくべき時代にあるのに、
彼は未だに国家を単位とした政治しか考えていないから、
国際政治や外交で失敗するわけです。
インターネットの広がりは、国民国家をぶち壊す。
テロリストは国家を越えた軍事組織で、
だからこそ従来の国家を単位にした戦争・制裁といったアメリカのやり方では、
世界平和を実現できない。
こうした脱国家化が起こっている時代に、
未だに国家至上主義で国際問題を考えようとする安倍氏では、
時代を先読みできないし、問題解決できず行き詰るだけだし、
新たに問題の火種を生み出しかねない危険な思想の持ち主である。
●少子化対策はしない?
子育ての価値は損得を超える
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だから国が対策をするんじゃなく、国民が勝手に産めという。
そういう問題なのか?
なぜ少子化になっているのか。
なぜ若い人が子供を産まないのか。
それは国家の政策とそれによって生まれた社会が、
子供を産みたくない、子供を産むことが負担になる社会になっていて、
それに対して無理やり国民に産ませるんじゃなく、
税金面とか経済面とか負担軽減社会政策をしていくのが政治家の仕事だろう。
自分は子供がいないのに、「損得じゃなく産め」とほざく彼の言葉にはほとほと困る。
さらに驚くべきことに、少子化になってもまだまだ日本は労働生産性を向上できるとほざいている。
これ以上もっと働かせるというのか。
労働生産性という名の労働の奴隷化にしてまで、
経済成長させて何が国家の豊かさなのか。
安倍氏の描く理想の国家は国家が富めば国民が不幸せでもいいという感じなんだろう。
●年金は破綻しない?
「年金は破綻する」というのはまちがい
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払った額の二倍もらえるのが厚生年金
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年金は必ずもらえるし、破綻しないよう組み立てられている
今、国内問題で真っ先に取り組まなければならない重大な問題の1つが、
年金制度だろう。
ところが一国の首相がこのような情けない認識不足。
年金が破綻しない?
君はバカじゃないのか。
人口ピラミッドと未加入者数を考えれば間違いなく破綻する。
破綻しないように保険料を値上げしたわけで、
「払った額の二倍もらえる」って今の時点での計算であって、
5年10年先、このままの保険料でこのままの受給額だという保証がどこにある?
このあまりに情けない発言を堂々と著書で書いてしまう、
中身のない政治家に閉口するしかなかった。
本気でそう思っているなら、破綻した時の保証人にぜひ安倍総理自身がなっていただきたい。
●学力向上が最大の教育改革?
教育問題について
喫緊の課題は学力の向上である
あのね、今いろいろな社会問題をよく見てみなよ。
6年も英語を勉強しながら英語で話せない、まともに郵便を出せない、年金の仕組みを知らない、
緊急でもないのに119番してしまう低能な人たち、
家計が破綻してしまうリボ払いやサラ金を利用してしまう人々・・・
学力の向上の前に生活力の向上が教育改革の緊急の課題ではないのか。
「現在大事にしていること」を聞くと、
米・中・韓は「成績がよくなること」という答えが7割を超えているのに、日本は3割程度
日本の高校生が「いま勉強するのは自分の将来をよくするためだ」と、
あまり思っていないことは明らかである。
これでは学力低下を招くのも無理はない。
なぜ安倍氏は調査結果をきちんと読み解くことができないのか。
成績がよくなることを大事にしていない=学力低下という馬鹿げた結論。
成績がよくなることという解答が米・中・韓で多いのは、
成績がよくない人が多いからかもしれないし、
日本が少ないのは成績がいいのは当たり前のことで、
プラスアルファそれ以外に友人をつくることが大事と思っているとも考えられるのに。
またなぜ成績がよくなることを日本が低いかといえば、
6年間懸命に勉強をしても外国人とまともに英語が話せないような教育内容だからこそ、
学校成績をよくすることに重きを置いていないとなぜ読み解けないのか。
この首相、よくもまあ自分の愚かさ加減を堂々と著書で発表しているなと、
ちょっと怖ろしくなった。
●格差社会
警戒すべきは格差の再生産
格差が固定されないようにすることである。
勝った者が新しい既得権益を手にしたり、
負けた者が再挑戦を許されないような社会になるのは、
絶対に防がなければならない。
安倍さん、なら、3世代で政治家やって、
既得権益を引き継いでいるあなたのような、
政治家が地盤・看板を引き継いで権力をほしいままにするような、
そんな格差社会是正のため、
政治家の世襲制禁止にしてからぜひそういう発言をしてほしい。
・2006年10月17日 中川核武装発言を批判する前に
自民党の中川昭一政調会長が、テレビの報道番組で、
「(日本に)核があることで、攻められないようにするために、
その選択肢として核(兵器の保有)ということも議論としてある」
「核を持たずに(北朝鮮のような国に対して)どういう対抗措置ができるか
真剣に考えないといけない。その中で核の部分だけスパッと抜いて議論するだけでいいのか。
議論することと非核三原則を守ることは決して矛盾しない」
と発言したことに、ここぞとばかりにマスコミやら民主党やらが、
批判しているらしいが、私はそれは見当違いだと思う。
彼が「核武装すべきだ」といったらそれは批判すべきだろう。
しかし彼は「核を持つかどうかを議論してはどうか」といっているだけである。
私はね、できれば日本に核を持ってほしくない。
できれば平和憲法も維持してほしい。
でも、北朝鮮がミサイルぶっ放しても何もできないとしたら、
やはり武装ということは、すぐしろということではなく、
検討に十分値する議論だと思う。
ただ私が非常に嫌なのは超国粋主義者・安倍が総理大臣だから。
彼は国家の存在を至上目的に掲げ、
国家のためなら国民は死んで当然と思っている。
そういう考えの持ち主が総理になっている今の内閣で、
「核武装の議論」が出ると、核武装や憲法改正が、
「国民を守るため」ではなく、「国を守るため」に使われ、
結果として国民が不幸になりかねない。
だから私は警戒している。
でもそうでなければ、核を持たない、軍隊を持たない、
憲法9条が世界遺産なんてバカな論議にはならない。
もし核も持たず、軍隊も持たず、
北朝鮮がミサイル撃っても、日本が迎撃すら許されないのか。
東京が焦土とかした後に何ができるのか。
攻撃されないための軍備はほんと悲しいけど、
一つの狂人国家が存在している以上、
なくてはならないことかもしれないという議論は、大いにすべきだと思う。
なんでもかんでも平和といっていればいいわけじゃない。
もしあなたが道端で襲われても、反撃すら許されず、
相手にめったうちになってもいいのかとそういうことだ。
日本にはタブーが多すぎる。
だから健全な議論ができない。
今の時代、右とか左とかなんて時代錯誤。
天皇制存続か廃止か、大いに議論すべきだし、
憲法、核、サラ金、たばこなどなど、
タブー視されることこそ重大な問題はないのだから、
大いに議論してそれで結論を出すべきことこそ「民主主義」ではないか。
ただ、核武装議論は安倍内閣では恐い。恐すぎる。
憲法改正も恐い。軍備が悪用される恐れがある。
私は数年前から、国の右傾化の危機と、数十年後に再び大戦争が起こる危機を書いていたが、
それが悪夢のごとく瞬く間に進行する恐れがある。
国民のためになることと、
国家のためになることは違う。
安倍氏の「美しい国へ」を読む限り、
彼は国民のためではなく国家のために、
国民に命を投げ打って戦争に行くべきだといい、
命を投げ打って経済成長のためにもっと働けといっている。
名目上、それで国家のステイタスや経済力や軍事力が上がったところで、
それは国民の幸せにはならない。
政治とは、そして国家とは、国民の幸せを考える道具に過ぎない。
にもかかわらず、安倍氏は、政治や国家を至上目的とし、
それに従属するのが国民だと位置づけている。
国民の幸せになるために、国民の安全を守るために何をするかが、
本当の政治家であり国家であり官僚であって、
今、彼らがやっていることは、国民を犠牲にした上での国家至上主義に他ならない。
これに軍事力が加わり、これに敬語で敬う天皇制が加わると、
はい、これ、見事に戦前の天皇制ファシズムになるのだ。
まずは安倍を引きずり降ろすことが国民の第一歩としてやるべきことか。
ソフトな顔してとんでもない国粋主義者・安倍総理が、
日本が再び過ちの道に突っ走る第一の入口に今なりかねない危機が迫っていると私は思う。