Mr.Childrenの部屋 ミスチルトップ かさこワールド

・序:ミスターチルドレンの魅力  byかさこ
"社会へのフラストレーション"
そして、その中で、どう生きていくか。
もがいて、苦しんで、悩んで、迷う。
そんな自分の苦悩をさらけ出したアーティストを、僕はミスチル以外に知らない。

「虚像を背負ったロックスター」でありながら、ミスチルの奏でる音楽は、あまりに人間ぽい。
そこに強烈な親近感を覚えるのかもしれない。
人は誰もが苦悩を抱いて生きている。
それを見事に音楽として作品化したところに、ミスターチルドレンの魅力があるのではないだろうか。

恋も夢も仕事も社会も、すべては理想論だけでは片付けられなくって、
人間である以上、時には失敗したり、過ちを犯したりもする。
それを隠さずに、理想論だけふりかざすアーティストとは違い、
現実を見据えた上で、それでも夢や理想を追い掛けていくミスターチルドレン。
そこに理想と現実のジレンマがあり、
その中で、どうバランスをとって生きていくかが、ミスチルのテーマであり、
僕が感情移入できる最大の部分である。

だからこそ僕は、売れ線を狙った、聞くものに心地よい、誰からも支持される「Atomic Heart」より、
かといってあまりに自分の内に沈み込んでしまった「深海」より、
(この2作がミスチルの中で最も売れたアルバムである)
長期休養明けに、一つの答えとして出した「DISCOVERY」こそが、
最もバランスの取れた、これまでのミスチルの求めてきたテーマを凝縮したアルバムのように思える。
アルバムに一貫性がありテーマ性がある。
それでいて明るい曲も暗い曲も、楽しい曲も悲しい曲も、うまく同居しているアルバム。
それが僕のミスチルの理想形だ。

その後に出された「Q」までいってしまうと、
もちろん悪くはないのだが、あまりに自由になりすぎたというか、音楽で遊びすぎた感じがする。
それはそれでミスチルの幅の広さを示すものでもあるわけだが、一曲一曲がばらけた印象を受けた。

“コンセプチュアルアルバム”を僕は求めているのかもしれない。
個性豊かなスター選手の集まったオールスターチームより、
それぞれの役割がしっかりした一つのチームの方が、総合力としては上であると僕は思う。
だから僕は「Atomic Heart」より「Q」より、 「DISCOVERY」が好きなのだろう。

ミスチルの進化は、退化とともに続く。
それはベストアルバムの「肉」と「骨」というアルバムタイトルにも表れている。
ただ前に進むことだけがいいってもんじゃない。
時には後ろを振り返り、時には回り道をし、時には後戻りしてしまうかもしれない。
ただ意識だけは前に向いてさえ入れば、最終的には望むべく地にたどり着けるのだから。

ミスチルの旅は続く。桜井君の旅は続く。
そしてまた、僕の旅は続く。
旅が終わらない限り、僕はミスチルファンであり続けるだろう。
だから「終わりなき旅」。


・ミスターチルドレンの魅力2  by進之介

僕にとってミスチルとは音楽であって音楽ではない。
もちろん楽しむ為に聴きはするが、もう生活と一体化してるのだ。
言わば食う、眠ると同じ。動詞であるのが僕のMr.Childrenだ。

ミスチルの為、ギターも始めた。毎日弾いては自己満足。
そんな僕が中でも気に入ってるのがアルバム「Q」である。
もちろん言わずと知れた大作「Atomic Heart」も聴いた。「ボレロ」も聴いた。
全て堪能させてもらった結果がこれなのだ。
世間では割と評判の低い作品だが、僕は一番好きだ。

アルバム「深海」リリースにあたり、桜井君が言った一言。
「ああ素晴らしい、とはもう歌えない」
ミスチル解散が初めに騒がれたのもこの頃だった。
暗く出口のない死の海・・。
坊主頭にニット帽、髭面。桜井和寿はそのまま世間から姿を消した。

そして約一年後、その沈黙を破ったアルバム「DISCOVERY」。
死の海から自分たちの道を正に発見し帰って来た彼らは、実に晴れ晴れしく、
桜井君の満面の笑みがそれを裏付けていた。
僕の中でのミスチルが他のアーティストを寄せ付けないのは、
そんな濃すぎる歴史から生まれた一つ一つの歌に、魂があるからだと思う。
あまりうまく言えないのだけれど、多分そんな所だ。

「隣の家のレトリバーにもハイ、ボンジュール!ああ世界は薔薇色」
「僕こそが中心です、ああ世界は素晴らしい!」
これはアルバム「Q」の中の「CENTER OF UNIVERSE」からの引き抜き。
この歌はミスチルの歌の中でも五本の指に入るくらい好きな歌だ。
それにしても桜井君、言ってる事が違うじゃない。もう素晴らしいとは歌えないんじゃなかった?

そう、「DISCOVERY」でも抜けきる事ができなかった死の海から、ミスチルは見事に脱出した。
アウトオブデッドシー、深海からの脱出。
このテーマをクリアして、その向こうに行ったミスチルは生まれ変わった。
「Q」の中の曲は実に自由だ。自由にあふれている。

単なるラブソングでも、そこらの人生行進曲とも違う凄み、されど自由で力強い。
あらゆる苦難を超えたミスチルだから伝えられる歌の深さを感じる。
「Q」までで区切り、またそれから今へ。

桜井和寿はただ者じゃないね。優しい歌のcw「花」では副題の「Memento-Mori」が省略されている。
桜井君によると「もう死を想わなくてもいいから」らしい。
完全にデッドシーから脱出したんだね!これからもミスチルらしくがんばってくんさい。