apfes08ミスチルライブレポート! ミスチルトップ かさこワールド

挑戦的セットリスト!
apfes最終日、観客として参加しました!
ひとまずミスチルレポをお届けします※ネタバレ注意。

まずはセットリストから。
1:ラララ
2:HANABI
3:少年
4:雨のち晴れ
5:くるみ
6:フェイク
7:掌
(It's a wonderful world)
8:Hallelujah
9:GIFT

●挑戦的セットリスト1:発売前の新曲を10曲中3曲披露!
度肝抜かれました。特に2曲目、3曲目。
『HANBI』は9月発売、『少年』にいたっては発売未定の新曲を、
いきなり2曲目、3曲目に!
ともにテレビの主題歌になっているので、
Youtubeで一部は聴いていたんだけど、
このフェスで通しで聴いてどちらもムチャクチャいい曲と感じた!

新曲2曲のクオリティの高さに、
次のアルバムにはきっとこれに加えて、
『GIFT』も『旅立ちの唄』も入るわけで、
この4曲だけでも相当聴き応えあり、
次のアルバムはかなりやばいんじゃないかと、
今から期待する演奏だった。

それにしても全体を通していえることは、超挑戦的セットリスト!
ミスチルファンにはたまらないけど、
ミスチルオンリーのコンサートなわけでもなく、
まあapに参加している圧倒的多数はミスチルファンとはいえ、
発売まだの新曲を10曲中3曲もやるとは。

ファンからは『GIFT』は絶対やるだろうなとは、
想像がついたけど、『HANBI』『少年』まで披露するとは。
私は大満足だったけど、周囲からは、
「どうせなら知っている曲やってほしかったな」とか、
かなりミスチル好きな人でも、「この2曲ってなんて曲ですか?」
と聞く人も結構いて、すごいファンにはたまらないけど、
そうでなかった人にこの曲がどう響いていたのか、
そんな声を聞いてちょっと心配になった。

そこまでしでも桜井さんが「聞いてほしい曲がある」といって、
発売前にもかかわらず、この2曲を持ってきたのは、
その完成度からは私には理解ができるけど。

いや〜、ほんとこの2曲いいです。
『HANBI』のサビの「もう一回もう一回もう一回もう一回」
というフレーズが、『しるし』の「ダーリンダーリン」のように、
すごく耳について、思わず口ずさんでしまう。
アルバム『HOME』以降、わりと優しい曲が多いなか、
『少年』のようにエッジのある曲もすごくよかったし。

●会場が一体となった『雨のち晴れ』
立て続けに新曲を披露し、
ややとまどっている観客を一体にしたのが、
また実に素晴らしい選曲をしてくるなと思った『雨のち晴れ』。
桜井さんの想いとしては、会場にもし雨が降っていたら、
この歌で雨を吹き飛ばし、晴れにしてやろう、
という狙いもあったみたいだけど、
桜井さんがそんな心配なかったといったように、
3日間とも雨が降ることもなく晴れ。

『雨のち晴れ』ってシングルでもないし、
ましてかなり古い曲にもかかわらず、
この曲が見事に会場を一体化させたのが、不思議だった。
社会の皮肉を歌っていながら、わりと軽い感じのノリが、
この曲を知らない人でものせてしまう、
すごい力を持っているんだなと。

その後の『くるみ』もまたよかった!
この曲はライブで何度聴いてもいい。

●挑戦的セットリスト2:apfesに『フェイク』『掌』の“狂夜”を放つ!
ミスチルのコンサートでは、ご存知の通り、
中盤あたりに現代社会を皮肉るような、
激しい曲を立て続けにもってくるのは、
ミスチルの魅力のひとつでもある。

ただ緑に囲まれたつま恋で、エコをテーマにしたapで、
これまでミスチルはあまりこの手の曲は、
やってこなかったように思う。
どちらかというと優しい曲をちりばめていた感じ。

ところが今回、もろにこれらをもってきた。
エコをテーマにした野外フェスに『フェイク』とは!
しかし会場的にはこの『フェイク』が、
ミスチルが演奏した中でも相当な盛り上がりを見せていた。

apfesを1日通しで聴いて思ったのは、
蒸し暑い野外フェスなんで、しっとりした聴かせる曲より、
激しい曲調の方がだいたいどのアーティストもやっぱり盛り上がる。
そういう意味で『フェイク』はapには意外な選曲だったけど、
ある意味では非常に的を得た曲なのかもしてない。

しかし次にまたしても『掌』。
さわやかとは縁遠い曲で、
非常にメッセージ性の激しい曲。
ただ桜井さんがあえてこうした曲を、
このapで持ってきたのは、
「ひとつにならなくてもいい」という、
『掌』の核となっているメッセージを、
どうしてもこのエコフェスで伝えたかったからではないか。

今、世間でエコが叫ばれていて、
ややもすると「環境ファシズム」や「環境宗教」になりかねない。
そんな危険を桜井さん自体が感じ、
自ら主催するフェスで「環境にいいことしましょう」
みたいなことを絶対視され宗教化されるのを懸念し、
この曲を放ったのではないかと思っている。

小林武史さんの発言にも最近そうしたことが見受けられる。
なんでもかんでも我慢して環境、環境では無理なんじゃないかと。
自分たちが楽しいということがないと、
続かないんじゃないかみたいなニュアンスの発言が、
最近目立っているように感じる。

これまでのように「環境が危ないから意識して」
というメッセージは社会的にも広がりを見せているので、
その役割は終わって、次の段階に来ているんだと思う。
それは環境至上主義ではなく、それぞれが自分のできるところから、
やっていくみたいな。
そういうことを桜井さんはこの『掌』に託したのではないか。
サミットもあって環境環境と環境ばかりが騒がれすぎていないかという、
揺り戻しのような気がする。

●“狂夜”から見事な転換。『Hallelujah』が最高!
『フェイク』『掌』と続けて、完全に「狂」モードに入った流れを、
残りわずかな曲数でどうやって戻すんだろうかと思っていたら、
「ひとつにならなくてもいい」世界は素晴らしいともっていき、
『It's a wonderful world』にうまくつないで、
「狂」モードから脱出。

またこの『It's a wonderful world』が、
フェスのコンセプトに見事にはまる!
「あなどらないで 僕らには
まだやれることがある
手遅れじゃない まだ間に合うさ
この世界は今日も美しい」
まるでエコをテーマにしたこのフェスのために、
作ったような歌詞が身に沁みてくる。

そしてそこから『Hallelujah』へ。
個人的には『Hallelujah』は、
ツアーではちょっと飽きたかなという、
気がしていた曲だったんだけど、
これまたこの曲がこのフェスのコンセプトにはまり、
今日聴いた『Hallelujah』が一番最高だった。

「もしかして地球がとまっても
人類が滅亡に向かっても この想いは続く」
「僕は世の中を儚げに歌うだけのちっちゃな男じゃない
太陽が一日中雲に覆われてたって かわって君に光を射す
優秀に暮らしていこうとするよりも 君らしい不完全さを愛したい」

別にこの歌は環境問題を意識して作ったものではないと思うんだけど、
apで聴いていると、この曲のメッセージが、
まさに環境問題への投げかけではないかと聴こえてくるから、
単なるツアーで聴くより、
すごく重要な曲に聴こえたのかもしれない。

●『ラララ』ではじまり「ラララ」で終わる
そして最後、最高の桜井さんからのプレゼント『GIFT』で、
終わりを迎えるんだけど、
思い返してみると、『ラララ』ではじまり「ラララ」で終わっている。
1曲目は『ラララ』。最後の『GIFT』にも「ラララ」の部分があり、
どちらの曲でも「ラララ」は観客にも歌ってもらえる。
きっとこれは桜井さんのことだから、
わざとそうしたセットリストにしたに違いない。

音楽を通じた“共振”や“連鎖”。
桜井さんの想いは、自分たちが一方的に、
音楽にメッセージを盛り込んで、
演奏して押し付けることではなく、
歌う側も聴く側も双方がともに歌い、投げ返しあう、
そんな双方向性を重視しているからこそ、
みんなで歌う「ラララ」が大事なんじゃないかと。

もしかしたら単なる深読みかもしれないが、
なんかそんなことまで考えさせる、
見事なセットリストと「ラララ」での終了だった。

というわけで、apfes08のミスチルはほんとよかった!
挑戦的でありながらフェスのテーマに沿った、
深く考えられたセットリストでもあり、
流れるように次々と曲が心の中に沁み込んでいた。

ミスチルコンサートツアーのように、
20曲以上もやれるわけではないけれど、
最新のミスチルの魅力がつまったライブだったことは、
間違いないのではないかと思った。