大久野島写真

かさこワールド

日本軍毒ガス製造の島、大久野島



































広島のガイドブックを購入し、ぱらぱらめくっていて、
一番行きたいと思った場所がここ。
1929年に陸軍により毒ガス製造工場が建設され、
島全体が毒ガス製造の場となった。
軍事機密のために、地図から「大久野島」も消されたというほど。
ほんの一部だが、その名残が残っている。
毒ガス資料館を見ると、当時は島全体が毒ガス施設だらけだったが、
今、残っているのは発電所跡や砲台跡、毒ガス貯蔵庫跡など。

ぜひ自分たちが愚かな過ちをしないためにも、
こういう島を修学旅行に組み込むなり、
学会で勝手に惑星から降格されてしまうような、
しょうもない惑星の順番を語呂合わせで覚えさせる暇があったら、
この島で行われた出来事を義務教育で教えるべきだろう。

1929年世界恐慌に端を発し、日本でも不況の頃。
不況対策として大久野島に工場ができるとのことで、
忠海町の市民はこぞって工場勤務を希望した。
毒ガスを作らされることも知らされずに。

イペリット、ルイサイトといった数種類の毒ガスが製造され、
ここで働いていた人の一部は毒ガスのために亡くなり、
また戦後も後遺症で悩まされるといった被害が発生していたが、
毒ガス製造に携わったことがアメリカ軍に知れると、
処罰されるのではといった恐れから、被害が表に出なかったという。

また、ここで製造された毒ガスは中国で使われたらしい。
しかしその事実は昭和59年までほとんど知られなかったという。
上記の理由から関係者が口をつぐんでいたこともあり、
また大久野島の毒ガス施設のほとんどは、
敗戦と同時に証拠隠滅のためぶっ壊されてしまったらしい。

靖国神社の参拝賛否だとか、中国がムカつくとかムカつかないとか、
経済的関係を維持することでメリットがあるから親しく付き合うべきだとか、
そういう低次元の話をする前に、日本人が中国で何をしでかしたのか。
大久野島で毒ガスが製造され、それが中国で実践使用され、
また毒ガス弾が遺棄されたままになり被害者が出ているとか、
まずそういう事実を知るべきではないのか。
私もこんな島があることなんてまったく知らなかった。
実に恥ずかしい。
水金地火木土天・・・なんて惑星の順番を覚える前に、
いくらでも日本人として知るべき事実があるのではないのか。
戦争の悲惨さや中国や韓国との付き合い方や、
これからの平和な時代を維持していくために、
日本軍が行ってきたことをもっと知るべきではないか。

大久野島は広島と尾道の中間ぐらいにある忠海港から、
フェリーがあり、約10分程度で到着する。
ちなみにここには国民休暇村の宿泊施設があるので、泊まることもできる。
毒ガス施設跡や毒ガス資料館を見るには日帰りで十分だが、
ここの宿泊施設は温泉で、夜はこの辺名物のタコ料理が出るので、
泊まってみてもよいかも。
私はここで1泊したが、家族連れなどでほぼ満室だった。
ネットで空室検索し、予約できるので便利。

広島を訪れたら多くの人が世界遺産にもなっている原爆ドームに行き、
戦争の悲惨さやアメリカの横暴さや被害にあった日本人の苦しみを想像するだろう。
しかし、それだけでいいのか?
日本は一方的な被害者ではなく、
原爆ドームのすぐそばの瀬戸内海の島で毒ガスを量産し、
それをアジアでばら撒いていたという事実とセットで考えない限り、
また愚かなる過ちを繰り返してしまうことになりはしないかと、
大久野島の後、はじめて今回原爆ドームを見て思った。


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