三江・龍勝・桂林旅行  かさこワールド 中国写真目次

・三江トン族の村の洗礼



金をくれ。
おまえもか、ジーザス。
私はぶつぶつ文句をいいながら、
こんな時のためにと思って持ってきていた、ある秘密兵器を取り出した・・・。


成田→広州、広州→桂林、桂林→龍勝→三江と、
2日間かけてたどり着き、私は期待に胸を膨らませ、
三江からバスで40分ほどいったところにある、山間のトン族の村、程陽(シェンヤン)へと向かった。

バス停を降りたところで、私は嫌な予感がしていた。
目の前にいきなり、見所である見事な風雨橋が見えている。
その前に入場料売り場。そして「coffee tea」と書かれた、即席カフェ店やおみやげ屋。
ひょっとして、これだけ?

入場料30元を支払い、早速、風雨橋を渡ってみることに。
まるで寺を橋の上に作ったような、
この素晴らしい木造建築物の中を実際に歩ける幸せ・・・、と思いきや、
ここはおみやげ屋の巣窟であるらしく、
歩く度に呼び止められ、おみやげを買ってけ買ってけといわんばかりに、目の前を立ち塞がれた。



雨、風はしのげても、おみやげ屋はしのげない、
この観光地化された風雨橋を渡りながら、
私は"少数民族トン族の村を訪れる"という言葉がイメージするものから、
程遠い世界に来てしまったことを、観光初日のしょっぱなから、
苦々しく思っていたものの、どこかで「こんなはずはない」という思いも捨て切れなかった。
わずか76mほどの風雨橋をやっとのことで渡り終えた先に、
かわいらしい子供がいたので、早速カメラを向けてみた。
少し恥ずかしながらもカメラに答えてくれる子供の表情に、
みやげ客引きからの汚毒が洗われるよな、と思ったその時だった。

ばばあー登場。
「写真を撮ったんだからこの子に金をくれ」
としきりに激しい口調とゼスチャーを交えて訴えている。

子供を撮っている時、最後のみやげ屋やのばばあからの視線を、
感じていないわけではなかったが、まさかこうして出張してくるとは思いもしなかった。

しかも、意地汚いのは「この子にあげろ」といっていることだ。
ばばあがぽっぽに入れるんだったら、
堂々と子供を出しにして商売にして、
自分に金をくれというべきなのだが、
自分の良心が幾分か痛むのか、
あくまで子供のために子供に金をやれという、この薄汚さ。

また子供自身が金をくれ、というならともかくも、
この子はまったく金をくれとはいっていない。
ばばあに焚き付けられ
「あんたからもいっておくれ」といわんばかりの剣幕に、
少々嫌気がさしているようで、
なかば投げやりの態度をとって、金を請求するわけでもなく、
かといってばばあを拒否するほどの態度をするわけでもなく、
板ばさみにあって子供は困惑気味だ。

こんな場面に何度も遭遇している私だが、
ここはそういう場所ではない、
という自分の予想が外れたことに、
大きな狼狽を抱きながらも、
目の前にばばあに対して、どの対応をするのがよいのか、
私はぐるぐると思考を猛スピードで回転させていた。

金をくれっといっても、
請求されているのはたかが「リャンカイ(2元=34円)」。
でも金額の問題ではないのだ。
現金をあげてしまうかどうか。
それによって旅人の心は切り裂かれる。

1:無視する
メリット:金を渡さなくてすむ
デメリット:ばばあがかなりうるさく騒ぐだろう
2:現金をあげる
メリット:34円でおとなしくさせることができる
デメリット:金をあげてしまったという心の傷が残る

そして私は、こんな時のためにと思っていたある種の賭けに出たのである。
そう、5円玉、である。

私は旅行に行く際、5円玉を20枚ぐらい持ち歩いている。
旅先でお世話になった人へのお礼。
子供が金をせびってきた時のため。
この2つの目的のために。

穴の開いた貨幣は珍しい。だから喜んでくれる。
5円というお金ではあるが、現地では使えないから、現金をあげるという意味にならない。
旅人と現地の人との1つの記念品になる。だから私は5円玉を持ち歩いている。

ただこのようなケースは5円玉作戦が成功するかどうかは、極めて微妙だ。
子供が金をくれ、といっているなら5円玉をあげることで、
その物珍しさに事なきを得ることはできるが、今回はばばあが絡んでいる。
ばばあの目的はあくまで現金だ。5円玉が通用するとは思えなかった。

私は今回の旅占いをするかのように5円玉作戦に賭けることにした。
私はぶつくさいいながら、リュックから5円玉を探し始める。
ばばあ、私が観念して金をくれるのかと思い、その行動をじっと見つめている。
子供は何がはじまるのか、なかば興味を持ちつつ、リュックを眺めている。

私はぶつくさ日本語でつぶやく。
「さ〜、あんたら、これでごまかせるかなー、どうかなー、
見て驚くかなー、怒るかなー、これは賭けだなー」
得体の知れぬ外国語のつぶやきに、ばばあ、子供、ともに神妙な面持ちになる。

そして私は小さなフィルムケースからぱかっとふたをあけて、1枚の硬貨を取り出すのだ。
「ジャパニーズコインを特別にプレゼントしよう」

私はこの時点で半身、逃げる用意をしている。
5円玉なる不可解な物体が何を意味するか、考えている間に、
この場からさっさと立ち去ってしまおうというわけだ。
その反面、彼らがどのような反応を取るのか、見極める必要がある。
「5円玉なんかいらねえから、現金よこせ」というか。それとも5円玉で満足するか。

そしてこのこにくたらしいばばあは予想外の満面の笑みを浮かべたのである。
「いいものをありがとう」と。

まだまだこの旅は捨てたもんじゃない。
見ればこの観光地化された風雨橋の先に「本物」のトン族集落があるではないか。
「再見!(さようなら)」
私は5円玉フィルムケースをリュックからジャケットのポケットに移しつつ、トン族集落へと向かったのであった。

・"ホンモノ"のトン族集落 と写真アップ!
程陽風雨橋という「観光名所」を越えると、
そこにはトン族の小さな集落があった。
家を改装した民家風旅館やみやげもの屋も数軒あるものの、
基本的にそこはトン族の人たちが暮らす生活空間だった。
風雨橋と並ぶ「観光名所」となっている鼓楼も、
そこのベンチに腰掛け休む人たちや、
中では地元の集会所のように、将棋やトランプに興じている人たちがいた。
もちろん、ここで写真を撮っても、金を請求することはない。
やっと、私の求めるものに出会えた。

集落の道端で出会った老人のなんともいえない笑顔。
子供たちの少し恥ずかしながらもうれしそうにする表情。
のんびりとした時間が流れる空間とその風景。
私は、ぐるぐるトン族集落を歩いていた。

そして、さらに、
この小さな集落のその先にも、2、3集落があることがわかった。
こちらは観光名所ではない。
程陽のようにあるようなでかい風雨橋はなくとも、
田園地帯にかかる小さな風雨橋は、地元の人たちが、
なんとはなしに時間をつぶしては休む公園のような、
のんびりとした空間だった。

今にもぶっ壊れそうにみえる、木材を張りあわせただけの家並みと、
緑一面ののどかな田んぼが目の前に広がる。
ところどころにある小川は、洗濯や風呂代わりとなる生活の一部となる。
時計という観念のいらない、のんびしりた田舎景色。
それは昔の日本の姿そのものであったかもしれない。

書けば書くほど実態の素晴らしさからは遠ざかるような、
そんな気がするので、写真を見ていただければと思う。

・トン族ヤオ族などの人たち

・トン族集落・程陽写真

・風雨橋と爆竹
風が、橋を、右から左へと吹きぬける。
ずっと首からぶらさげているカメラを、
この時ばかりはリュックにしまい、
地元の人たちと同じように、
橋のベンチに腰かけ、その風にただ当たっていた。

橋と手すりの間からは、
のんびりとした田舎風景が広がっている。
ほとんど動くことのない牛が、
川べりに1頭いるぐらいは、
緑一面の田んぼが広がっている。

音もなく静か。
動かない、止まった世界。
あー、きっとこんな空間に身をゆだねたいから、
日本からわざわざこんなところまで来たんだろうなと、
何もしない贅沢を思う。


と、とつぜん、
「バ、バ、バババババババババンンンンンン!!!!!!!!」
と爆音が鳴り響く。
またはじまった。
爆竹の音だ。

中国もGW(黄金週間)。
祝日を祝ってなのか、三江の町でも爆竹の音を聞いていたから、
またはじまったなぐらいにしか思っていなかった。

しかし、うるさい。
というより、こののぞかな風雨橋と田舎風景に、あまりにこの爆音は似合わない。

そこでふと思った。
爆竹を鳴らしているのは、まさにのどかだからではないかと。

都会に住む人々は、静かでのどかでのんびりしたところをめざして旅をする。
それとは正反対に、田舎に住む人々は、この倦怠ムードを吹き飛ばしたくって、
ありあまるパワーを持て余し、
そのはけ口として、人が集まる都会へ、都会へと上京する。

きっとこの爆竹は、このあまりに変化のない、
刺激のない、退屈な田舎に嫌気が差した若者の、
ある種のうさばらしではないか、と思ったのだ。

のどかな空間に似つかわしくない爆音が響けば響くほど、
爆竹が終わってしまった後の、無音ともいえる静寂が、
より深まり、よりだるい雰囲気を醸し出す。

私は、それを心地よく感じていたが、その若者はどうなんだろう・・・。

10分後、再び爆音がはじまった。
音がうるさければうるさいほど、なんだかとても切なくてわびしい。

・"ホンモノ"のトン族集落2
程陽という幾分、観光地化されたトン族集落を訪れた翌日。
さらに私は「本場物」のトン族集落を求めて、別の集落を訪れた。
馬胖(マーパン)と八斗である。

馬胖へはどうやって行くのか、情報がなかったが、
交通網が極めて発達している中国である。
絶対に何某かの乗り物で行けるはずだと思っていた。

三江の町でワゴンカーバスが集まるところで、
馬胖へ行くバスを探していたが、そんなものはないという。
「なんだだったら乗せてってやろうか」と、
ワゴンカーバスの運転手が申し出た。
すなわち乗り合いワゴンバスをチャーターすれば、
行ってくれるというのである。
じゃあついでに、馬胖と八斗も行っていくらかと聞くと、
80元(約1360円)という。
これは結構安い。
タクシーをチャーターすると300元とか400元取られることを考えると安い。
ということで、この車に乗って馬胖と八斗に向かった。
(ちなみに三江の町でタクシーは見掛けなかった。
町が小さいからタクシーはいらないんだろう)

途中までは舗装された道路を走っていて、
「なんだ、これだったらバスあるんじゃないのか」
なんて思っていたが、途中からは舗装されていない、
細いガタガタの道を20分近く走った。
これなら、チャーターしてよかったなと思った次第である。

山間の小さな集落、馬胖。
川を渡り集落の入口で向かえてくれたのは、
かごをかついだおばさんと小さな子供。
その純粋な表情をみて「ついにきた!」と思ったのである。
写真を撮っても金などよこせといわない、
本場物の人たちに出会えたのだと。

馬胖はほんとにのんびりとした集落だった。
一応、ガイドブックにもちょこっと載っているぐらい、
古くて大きな鼓楼があるから、
私ら以外にも数組、観光客らしき人たちを見たが、
程陽に比べればほとんどいないに等しい。
そのせいか、とってもいい場所だった。

ちなみにここへは車をチャーターしなくても、
行ける方法があることに、帰りがけの気づいた。
三江から八江までワゴンカーバスに乗り、
八江から馬胖行きのトラックバスが出ていた。

交通が不便なところほど、観光地化、近代化、都市化の波が押し寄せず、
いい雰囲気が残っている。
旅人は先の町へ先の町へと、いつもその先をめざす。
そう沖縄の島を観光して感じた時と同じ。
常に旅人は「汚れなき」雰囲気を求めて、
その先の島、さらにその先の島へと、
交通が不便な島を求めていくように。

・ライステラスで●●できる?!〜旅の盲点
三江を拠点にトン族集落を見た我々は、
三江と桂林のちょうど中間にある龍勝(ロンシェン)へと向かった。
龍勝には見事なライステラスがあるという。
私は風景より人を撮りたいと思っていたので、
それほど興味を覚えたわけではなかったのだが、
どうせ通り過ぎるのだから、ぱっといって、
パシャッと写真を撮るぐらいはしてこようと思っていた。

三江からバスで4時間。龍勝の町に着き、
客でにぎわうおいしそうなショーロンポー屋を見つけて、
スープまでついて10つほどのショーロンポー2元(34円)を頬張りながら、
龍勝での旅行計画を考えていた。
地球の歩き方には町の地図しかなく、
ライステラスやその周囲に点在する部族の位置関係を示す地図がなく、
私はまず地図を手に入れ、位置関係を把握した上で、
観光計画を考えようとしていた。


そこに一人の男が声をかけてきた。
到底長居できるはずもない街角のショーロンポー屋で、
彼はなんと観光の客引きをはじめたのだが、
彼の手にはまさしく私が望むべく、龍勝観光地図を手にしていたので、
私を中国人観光客だと思って中国語で話しかけてきて、
ろくに言葉が通じない彼を利用して、
私はその地図をしげしげと見たのである。

まったく言葉は通じないのだが、
観光客と客引きという互いの関係性があれば、
身振り手振りと互いに意味不明の単語でもわかりあえるから不思議である。


私は唯一、知っている、ライステラスの名前となっている、
龍背棚田(ロンジーティーティエン)を連呼すると、
彼もうなずき「ロンジーティーティエン」を連呼し、互いにニタニタ笑いあっていた。

彼は客引きにしては随分とよさげな人で、
名刺まで差し出してきたので、
面倒だし、彼の客引き口上にのり、
彼の車をチャーターし、ライステラスほか周辺の集落を回ってもらおうと考え、
棚田、トン族集落、ヤオ族集落を順に指差し、
龍勝の町に帰ってくるってルートはどうかといっているのだが、
どうも彼と要領を得ない。
彼はひたすら棚田だけにこだわり、そこばかりを指差し、
私が首からぶらさげているカメラを指し、
そして四季折々の素晴らしい姿を見せる棚田写真を指差すばかり。

もちろん私は写真を撮りたい。
だから私はうんうんとうなずきながら、
ついでにトン族集落とヤオ族集落を回ってくれといっているのだが、
いつまでたっても彼は棚田に固執していた。
そして彼は棚田スポットから矢印を描き、そこをしきりに指差した。



う?なんだか車のドライバー客引きではないのかな。
ここに来いといっているようだ。
しかし棚田から歩けとはどういうことか。
そして私は彼の名刺を見て、はじめて合点がいったのである。
なんとそれは、棚田の中にある民宿の客引きだったのだ。

以下、筆談、中国語、ゼスチャーから推測:
「私の家は棚田の中にあります。そこで泊まることができます。
パンフレットのような素晴らしい景色を堪能することができます。
棚田から歩いて20分ほどの場所にあります。
ぜひ今日、うちの民宿に泊まりませんか?」

棚田の中に泊まれるとは!それはワンダフル!!
棚田は見るものであって泊まる施設があるなんて夢にも思わないから、
彼が言っていることが理解できなかったのだ。

このようにして、旅には盲点がある。
たとえばグランドキャニオンの谷底にはホテルがあって泊まることができるなんて、
日本人には意外と知られていないこと。
三江からバスで訪れたトン族集落・程陽にも、
トン族集落風民宿があって泊まることができると知った。

「おお、それはなんと素晴らしいことか。
しかし残念ながら我々は町中でホテルで泊まる手続きをしてしまったばかりだ」
「そうか、残念だなー。私は棚田の中でこの民宿を経営しているから、またの機会にぜひ泊まりに来てくれ」
「ぜひ、再見!(さようなら)」といって、
ショーロンポー屋の食堂のおばさんが、場にそぐわず、
長居する我々を見つめる痛い視線を感じながら、別れたのである。

さて、ここまで来て棚田に泊まらなかったなんてもったいない!
といわれそうだが、我々はこの後、棚田に行って、
泊まらなくてよかったと思うのである。
そこは完全に観光地化され、何百人と中国人観光客が訪れ、
観光客向け民宿、食堂が棚田の中にいっぱいあったのだ。
棚田は確かに素晴らしいが、観光客がわんさかくるこんなところに、
風情もくそもあったものではないなと。

いずれにせよ、こうした意外な旅の盲点を知るというのは、
それはそれで実に楽しいことだなと思った。




・ライステラスの秘密2



ライステラス内に民宿があることが1つのサプライズだったが、もう1つ驚いたことがある。
それは、バスで到着した場所が、
ライステラスを眺め渡せる頂上ではなく、ライステラスの真下だったことだ。

幾重にも積み重なる棚田のビュースポットで、
観光地としても非常に有名な場所で、しかもその5kmぐらい手前で、
50元(約850円)もの入場料をとるぐらい、
観光整備されているはずの場所であるから、
当然のごとく、バスが到着するのは、
目の前に棚田を見渡せる、頂上だと思い込んでいた。
しかし到着したのは棚田の底。
写真のような素晴らしい景色を見るのには、
なんと棚田の坂道を1時間ほど登らないといけないのである。

←ここの棚田は傾斜が急なので、下から見ても景色はぜんぜん良くない。
たかが棚田。1時間も登るかと迷ったものの、
ここまで来て1時間歩くことをケチるというのもバカな話である。
だから頂上まで登っていって、ぱしゃっと写真を撮って、
そしてまた降りていった。

そういう情報が意外とないのか、
大挙して押し寄せている中国人観光客の中には、
1時間もどろどろの坂道を登ることを当然想定しておらず、
ハイヒールなど歩きにくい靴の人もかなりいた。

ちなみに龍勝の町から30km程度のところにあるというので、
行くのにそんなに時間はかからないだろうと思ったら大間違い。
山道をちんたらバスで行くので、行きは2時間近くもかかった。
そんなことも知らず、棚田観光に出かけるととんでもない目にあうので、
注意しよう。

ちなみに中国観光地お得意の籠で人を運んでくれる人たちがいるので、
いくらか払えば、まるで人身売買されるような感じだが、
山道を籠でかついでいってくれる。



棚田のスケールは確かにすさまじく、景色も素晴らしいが、中国おそるべし。

・2006年6月8日 桂林・龍勝名物料理を食す
・桂林ならではの朝食


桂林、三江、龍勝、どこに行ってもあったのが、桂林米粉という料理だ。
私は中国各地を訪れているが、この料理ははじめてだった。

朝食用なのだが、あたたかいきしめんみたいなもの、
とイメージしていただければいいだろう。
値段は2〜3元ぐらい(34円〜51円)。
朝食を食べに食堂に行くと、ほとんどがこれを食べている。
さっぱりしていてするっと入り、なかなかおいしい。
日本人にも抵抗感なく食べられる。私はほぼ毎日、朝食はこれ。



同じ麺でこれを野菜と炒めて焼きそばにしたのが炒粉。
4元(68円)だが、これまたうまい!
いやー、こんなうまい焼きそばはないですね。
昼はよく炒粉を食べていた。

上海にも北京にも西安にもウルムチにもチベットにも、
この米粉ってのはほとんど見なかった。
さすが中国。中国内に10カ国ぐらいあると考えた方がいい。
朝食だけでも地方によってこんなに違うんだよな。

・龍勝名物・竹筒飯
ライステラスの町・龍勝の名物料理は竹筒飯だという。
すっかり観光地化されたライステラスでは、
この竹筒飯を小さなの1本でなんと8元(136円)もする!
チンジャオロースとか一皿で8元ぐらいが相場だから、
単に竹に飯を詰め込んだだけで8元というのは、
完全な観光地プライスだ。

しかしライステラスの途中に立ち寄った民族集落の、
これも多少は観光地化された食堂だったんだけど、
ここの竹筒飯はムチャクチャうまかった。
チャーターしたタクシードライバーと私と妻と3人で、
1人5本ずつぐらい食べたのではないか。



しかし値段も驚きのプライス。
3人分で30元!うまかったけど、すごい値段だ。
ちなみに普通のご飯ならお椀一杯で1元。
チャーハンでも1.5人前ぐらいで4元ぐらいだから、
いかに高いかがわかるだろうが、
まあ龍勝に来たら話の種にぜひ食べてみてほしい。

ちなみにこのおいしい竹筒飯を出してくれた食堂は、メニューがない。
メニューがあれば漢字でわかるから、料理を頼めるんだけど、
中国田舎の食堂でよくあるオーダーの仕方は、
店先にある野菜や肉を自分で指差し、指示するものなのだ。
私はこの食堂の台所に行き、適当に野菜ばかりを指差したが、
どれも実においしく、一皿8元程度と、
竹筒飯の30元に比べれば、良心的な値段だ。









ここでは名物酒もある。
龍背水酒(ロンジースイジョー)だ。
タクシードライバーがうまいから飲んでみろと、
勝手に頼んでしまったのだが、確かに強いけどおいしかった。
飲み口がよくって、わりとさっぱりした甘口の日本酒みたいな感じだろうか。
これまたタクシードライバーがみやげにこの酒を買っていくべきだと、
私が持っていたミネラルウォーターの水を捨ててしまい、
その中にたっぷり酒を注ぎこんで、確か15元ぐらいだった。







海外旅行に行くと意外と料理が合わないと、
どんなに観光が素晴らしくても旅は辛いものになってしまいがちだが、
中国はほんと料理がおいしくてバラエティに富んでいるので、実に楽しい。